複数相続の空き家、費用分担で揉めない!専門家が教える「損しないための最強ルール」

親が亡くなって兄弟姉妹で空き家を相続したとき、最初にぶつかるのが「費用を誰がどう負担するか」という壁です。

固定資産税、修繕費、管理費……放置すれば費用は積み上がる一方で、相続人同士の関係はじわじわと悪化していきます。

民間調査によると、不動産相続において約4人に1人が何らかのトラブルを経験しているといわれています。その主な原因は「財産の分け方をめぐる意見の対立」です。

費用負担のルールを早めに決めるだけで、揉め事の多くは防げます。複数相続の空き家を持つ方に向けて、損しないための費用分担の考え方を具体的にお伝えします。

「住んでいる人が払う」は大きな誤解|費用負担は持分割合が原則

多くの方が勘違いしているのが、この点です。

「空き家に実際に住んでいる人が費用を払えばいい」と思いがちですが、法律上はそうではありません。共有名義不動産の管理費用は、各共有者の持分割合に応じて全員が負担するのが原則とされています。

たとえば兄・弟・妹の3人で各3分の1ずつ相続した空き家なら、固定資産税も修繕費も原則として3人で均等に負担することになります。

誰かが遠方に住んでいても、「お金がない」と言っていても、法律上の義務は持分に応じてあるというのが基本的な考え方です。

管理費用の範囲としては、固定資産税・都市計画税、火災保険料、最低限の修繕費や草刈り・巡回などの管理費が含まれるとされています。一方で、居住者個人の光熱費や一部の共有者だけの意向で行ったリフォーム費用は、全員で負担する対象にはならない場合があります。

相続人が費用を払わないとき、立て替えた分は請求できる

「他の人が払わないから自分も払わなくていい」と考えてしまうケースがありますが、これは危険な判断です。

他の共有者が払わなくても、自分の法的義務はなくなりません。

もし費用を立て替えた場合は、他の共有者に持分割合に応じた金額を請求する「求償」という手段があります。ただし、請求が通るかどうかは証拠次第です。領収書や支払い記録、事前の合意内容をきちんと残しておくことが前提になります。

口頭での約束は後のトラブルのもとになります。費用分担のルールは必ず文書にまとめておきましょう。

専門家の間では、書面を作成しておくことがトラブル防止に有効とされています。内容としては次のような項目を盛り込むのが一般的です。

  • 各費用の負担割合(持分割合どおりか、別の取り決めにするか)
  • 管理担当者の決め方と連絡方法
  • 将来の売却・活用方針について話し合うタイミング

今の負担だけ決めても揉める|費用と売却益はセットで話し合う

費用分担のルールを決めるとき、「今の負担」だけを見ていると後から不公平感が出やすくなります。

専門家の間で実務上よく行われているのが、費用の負担額を将来の売却益の取り分に反映させるという考え方です。

たとえば、管理を実質的に担ってきた相続人が修繕費を多く立て替えていた場合、売却時にその分を上乗せして回収できるよう事前に合意しておく、といったやり方です。誰かが管理業務を引き受けるなら、名目的な管理報酬を設けることで不公平感を減らす方法も議論されています。

「費用の負担」と「将来の取り分」はセットで話し合うことが大切です。どちらか一方だけ決めると、後から「こんなはずではなかった」という対立が起きやすくなります。

空き家特例は共有名義でも使えるが、相続人の人数で控除額が変わる

相続した空き家を売却するときには、「空き家特例」と呼ばれる税制上の優遇が使える場合があります。

一定の要件を満たすと、売却益から最大3,000万円を差し引いて税金を計算できる制度です。共有名義の空き家でも適用できるとされていますが、相続人が3人以上の場合は各人の控除額が2,000万円に制限されるなど、人数によって扱いが変わります。

また、被相続人が亡くなる前に一人暮らしだったことや、相続開始から一定期間内に売却することなど、細かい要件が複数あります。家屋と敷地を同一の相続人が取得している必要があるなど、共有の仕方によっては特例が使えないケースもあります。

税制は改正されることもあるため、売却前には必ず税理士に確認するようにしてください。

まとめ:複数相続の空き家で損しないための費用負担ルール3つ

複数相続の空き家で費用負担のトラブルを防ぐために、押さえておきたいことは3つです。

費用負担の原則は「持分割合」であることを全員が共通の認識として持つこと。居住実態や支払い能力で調整するなら、必ず全員の合意のうえで進めます。

次に、費用分担のルールを文書化しておくこと。口頭の約束は証拠にならず、後のトラブルの原因になります。

そして、費用負担と売却益の取り分をセットで話し合うこと。今だけでなく将来の利益配分まで含めて合意することで、不公平感を大きく減らせます。

相続した空き家の問題は、放置すればするほど費用が膨らみ、人間関係も複雑になっていきます。費用負担の詳細や税制の適用については、弁護士・税理士・司法書士などの専門家に早めに相談することをおすすめします。