空き家を貸す前に整える最低限の設備は、最新設備ではなく、入居者が安全に生活でき、責任範囲を説明できる状態です。
最初に見るのは、電気・ガス・水道のライフライン、水回りと給湯、防災・鍵・外装の安全、そして設備表です。見た目のリフォームより先に、使えない設備と説明不足を減らします。
所有者ができるのは、通電・通水の有無、臭い、カビ、鍵、記録の確認までです。分電盤内部、ガス機器、雨漏り、配管不具合は、自己判断で直さず専門点検へ回してください。
- 貸せるかどうかは、住める設備と説明できる記録で判断します。
- 自分で直すより、危険な設備を専門点検へ分けることを優先します。
- 残す設備は、設備表と写真で契約前に整理しておきます。
もくじ
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空き家を貸す前に当日確認する順番
確認は部屋ごとではなく、生活に必要な機能から順に見ます。次の4つを先に押さえると、修繕すべき箇所と契約前に説明すべき箇所を分けやすくなります。
- 電気・ガス・水道・排水が使える状態か見る
- 蛇口、排水、トイレ、給湯器の動作を確認する
- 火災警報器、鍵、外装、換気の安全面を見る
- 設備表に残すものと残置物を分ける

空き家期間が長い場合、契約を止めていたライフラインの再開だけでなく、再開後に水漏れや異臭が出ないかも見ます。再開や停止の判断で迷う場合は、管理頻度や貸す時期も合わせて整理してください。
最低限整える設備は3分類で考える
最低限の設備を考えるときは、便利さよりも生活、安全、契約前の説明に分けます。すべてを新品にする必要はありませんが、使えない設備を残したまま募集しないことが重要です。
| 区分 | 最初に見る項目 | 専門確認の目安 | 記録すること |
|---|---|---|---|
| ライフライン | 電気・ガス・水道・排水 | ブレーカー異常、ガス臭、水漏れ | 契約状況、停止・再開日 |
| 水回り・給湯 | 蛇口、排水、トイレ、給湯器 | 漏水、詰まり、製造年が古い | 写真、型番、点検履歴 |
| 安全・衛生 | 火災警報器、鍵、外装、換気 | 作動不良、雨漏り、カビ再発 | 作動日、修繕予定 |
生活インフラは直ちに使える状態を確認する
電気はブレーカーの状態、コンセントの破損、照明の点灯を外から確認します。分電盤内部や配線、コンセント増設は電気工事士の範囲になるため、所有者が作業しないでください。
ガスは都市ガスかLPガスか、閉栓中か、給湯器やコンロを設備として残すかを分けます。LPガスでは料金情報を契約前に確認する流れもあるため、入居後に初めて料金や契約条件を知る状態を避けます。
水道と排水は、蛇口を開けたときの水量、排水の流れ、床下や収納内の湿りを見ます。水漏れ、濁り、強い下水臭がある場合は、水道業者や管理会社に確認してから募集へ進めます。
水回りと給湯は入居後の不満になりやすい
キッチン、浴室、洗面、トイレは、借り手が内見時にも見やすい場所です。水圧、排水、臭い、便器や床のぐらつき、浴室のカビを確認し、清掃で済むものと修繕が必要なものを分けます。
給湯器は製造年、型番、点検履歴、異音や温度むらを確認します。メーカーはガス給湯器の点検・取替えの目安として10年を示しているため、古い機器は交換断定ではなく、点検または交換の判断材料にします。
安全設備と外装は事故を防ぐ視点で見る
住宅用火災警報器は、設置の有無だけでなく作動確認と交換時期を見ます。電池切れや古い機器を放置すると、入居後に安全面の不安が残ります。
玄関や窓の鍵、雨戸、手すり、外壁、屋根、バルコニーも見ます。高所に登る確認は避け、外壁のひび、浮き、雨染み、室内天井のシミなど、地上や室内から分かるサインを写真に残します。
自分で見る範囲と専門点検の境界
貸す前の確認は、所有者が自分で全部直すための作業ではありません。安全に見える範囲を記録し、危険な設備を早めに専門点検へ渡すための切り分けです。
自分で確認することは、触って危険がない範囲の動作確認と記録です。
- 通電、通水、臭い、カビ、鍵の状態を見る
- 型番、製造年、点検履歴、写真を残す
- 残す設備と処分する物を一覧にする
専門点検へ回すことは、資格、安全、原因調査が関わる設備です。
- 分電盤内部、配線、ガス機器は資格者へ回す
- 水漏れ、詰まり、雨漏りは業者確認にする
- ガス臭や焦げ臭い場合は使用を止めて連絡する

相談時は「いつから空き家か」「契約を止めていた設備は何か」「最後に使えた時期」「写真や型番」を伝えます。状況を先にそろえると、不動産会社や管理会社も修繕範囲を判断しやすくなります。
設備表と故障時の連絡ルールを先に決める
設備が使えるかを確認したら、次は契約前の説明に落とし込みます。入居後のトラブルは、設備そのものより「誰が直すのか」が曖昧なときに起こりやすいためです。
備付設備と残置物を分けて書く
エアコン、照明、ガスコンロ、温水洗浄便座、カーテン、物置などは、設備として貸すのか、残置物として扱うのか、撤去するのかを分けます。あいまいに残すと、故障時の修理負担で揉めやすくなります。
国土交通省の賃貸住宅標準契約書は、契約をめぐる紛争防止を目的とするモデルです。実際の契約では不動産会社や管理会社と相談し、物件に合う設備表へ落とし込みます。
契約前に控えることを、設備表に転記できる粒度でそろえます。
- 設備として貸すもの、残置物、撤去するもの
- 給湯器、エアコン、火災警報器の型番と製造年
- 故障時の連絡先、初動、費用負担の考え方
- 雨漏り、カビ、外装劣化など説明が必要な箇所
故障時の連絡先と費用負担を決める
設備が故障した際、誰に連絡し、誰が費用を負担するかを明確にしておきましょう。
民法上、貸主には使用収益に必要な修繕義務があります。借主の使い方が原因か、経年劣化か、残置物かで判断が分かれるため、契約前の記録と説明が重要です。
設備投資は見た目より生活と安全を優先する
限られた予算で整えるなら、内装の見た目よりも生活に必要な機能を先に見ます。重要なのは、地域の賃貸相場との比較です。
高額な改修をしても、家賃や募集条件に反映できない場合があります。まずは安全に住める状態を整え、追加投資は借り手の条件や地域相場を見て判断します。
| 優先度 | 対象 | 理由 | 次の行動 |
|---|---|---|---|
| 最優先 | 電気・ガス・水道 | 生活と安全に直結 | 専門点検を手配 |
| 高 | 給湯器・火災警報器・鍵 | 入居後の不具合が目立つ | 製造年と作動を記録 |
| 中 | トイレ・換気・カビ | 借り手の不安に直結 | 清掃と修繕を比較 |
| 後回し | エアコン・内装刷新 | 相場次第で回収差が出る | 募集条件と比較 |
外装や屋根は、所有者が登って確認する必要はありません。外壁の浮き、雨染み、室内天井のシミ、窓まわりの水跡などを写真に残し、危険がありそうなら建築業者や不動産会社に見てもらいます。
貸す前の設備確認は記録と説明まで済ませる
空き家を貸す前の設備確認は、修理リストを作るだけで終わりません。ライフライン、水回り、安全設備、設備表の順に見て、写真と点検履歴を残すところまで進めます。
自分で確認できる範囲は、見た目、動作、臭い、記録の整理です。電気、ガス、給排水、雨漏りなど危険や資格が関わるものは、早めに専門点検へ分けます。
募集前に設備表と故障時の連絡ルールを整えておけば、入居後の「聞いていない」「誰が直すのか分からない」という不満を減らせます。最新設備よりも、説明できる状態を優先して準備しましょう。

